とある経済音痴のブラック企業礼賛について

http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20130209/1360386048
だめだ・・・嫌儲批判の記事の時からまるで成長していない・・・。
それでいて、嫌儲批判の記事を書いた人間が、教師に対しては無自覚に嫌儲思想と同じ理屈を押しつけて、自分は経済学通でございときたか。 なんのコントだ。まるで面白くない。

なるほど、kawangoさんとかが言っていた事がよく分かる。 プラットフォームを用意するわけでもなく、システム内での人材教育を整備するわけでもなく、ただ耐久限界に来てるシステムを成り立たせようとすると「理想的な人材を、安価に」要求し、それに応えられないやつは糾弾あるいはパージすればいい、というブラック思想になるわけだな。

別にニコニコ的な方針とかネット教育などの流れがすべて正しいとはまったく思わないけれど、こういうバカな意見よりは百倍マシだと断言できる。







TM2501さんはブログの最後で紹介されてる「ハンマーセッション」や「電波教師」が多分お気に入りで、そういうフィクションを元に「ぼくがかんがえたさいきょうの教育」について語ってるのだと思いますが、ちょっと勘弁して下さい。考えが幼稚すぎます。

フィクションに「生徒諸君!教師編」のようなスーパー教師を求めようが、「電波教師」のように破天荒な教育を容認し、推進してくれる非実在校長を求めようがそれは構わない。ただ、そんな「マンガ教育特区における思考実験」と同じ基準で現実の教育という大規模システムを考えないで欲しいな。 *1

公立で普通の教育をしようと思ったら、まずはその前提条件が整えられるかどうかという議論から始めたら?

柔軟な対応ができる先生がならないといけない。世の中には多様性があって、それゆえのゆらぎがあって、そういう家庭環境に関係なく子供を放り込まれる学校という場所はそれだけ柔軟な対応ができる先生がならないといけない。サラリーマン的に教師になれちゃう現状のシステムでは「自分が荒れてない学校に行ければいい」しかない現状では何も改善しない

そうですねぇ。これ自体が間違いだとは言いませんよ。こうできたら素晴らしいですね。・・・で、その前提条件やサービスを求めるのに、お代はいかほどいただけるんで? 
なぜこういう優秀な教師が教育現場に少ないと思いますか? 教師の立場に少しでも理解があれば、考えたことがないとは言わないよね。経済学に詳しいならまさかわからないとは言わないよね。その上で、こういうとぼけた発言をしてるんですかね。


「教師に与えられた「権限」と、教育者が「求められる水準」が不一致になっている」

それを言うなら、貴方のような*2人たちが教師に求める要求水準と、教師に与えられる報酬は割にあわないと思いません? ちなみに、あなたが「より大変だ」と意識する底辺校の教師のほうが報酬少ないですよね。それがどうしてか経済学に詳しいならわかりますよね。 それについてどう解決すべきだと考えてるんですか?まさか考えてないとは言いませんよね。





・・・と、まぁこの人に限らず、実際に教育現場で働いた経験がない人が考えた「ぼくのさいきょうの教育論」を実践するのは無理がある。 そういう無茶な教育論は人の心が分からない合理主義者ハスミンとか、ゲームとして割り切っている詐欺師にしか実践できないでしょう、となる。

「ぼくの考えたさいきょうの体罰論」も同様。

「親が教育しないからこうなってるんだ」って議論も同じ。分かっててわざとボケた発言をしているのか、本当に自分が何を言ってるのか分かってないのかは判断出来ないけど、できれば前者であることを希望します。


教師とかリーダーのインセンティブについて無視した上で、教師に全て問題かぶせて事足れりっとなるなら、すべての教師がヒーローになれるなら、世の中誰も困ってないわけです。TM2501さんが言ってるのは「全ての病院にブラックジャックを配置すれば医療の質は向上する」という程度の話であってそんなのはサルでも思いつきます。個人の奮闘でなんとかするというブラック企業的な発想で物事が根本的に解決することはありません。経済学を学んだ人がみんなこんな幼稚なアイデアしか出せないなら、経済学など要りません。経済学はこんな幼稚な発想を教える学問ではないと信じてます。むしろ、こういう幼稚な発想から抜け出すために経済学というものがあると信じています


いちいち丁寧に突っ込んだりするほど親切ではないですが、とりあえずとてもあきれた、という感想だけは表明しておきます。

関連記事
http://d.hatena.ne.jp/TM2502/20120929/1348892980





蛇足
全体的にはクソみたいな記事ですが良いと思ったところもあります。

彼の記事のうち「性善説に基づいたシステムの限界」という指摘だけは的を射ている。ここに焦点あてて書くべきだったね。ただ本人がそれをきっちりキーポイントとして自覚せぬまま記事を書いているのが残念。ろくに使いこなせないのに「経済学が−」とかマヌケなことを言い出さず、自分が観察したことや感じたことを、自分の身の丈にあった表現を使って語ればいいのにな。本当に残念な子だ

*1:ここいら辺読んでコミック教育脳になってるなら、逆方向に極端な「悪の教典」や「ラストイニング」とセットで読んでちゃんと真ん中レベルに戻してしてから考えよう

*2:スクールカースト下部層として不遇な学生生活を送り、その原因を自分ではなく学校や教師のせいにしてルサンチマンを抱えている