岩崎夏海さん原作の「妹のジンテーゼ」感想

twitterでのつぶやきをそのまんま使ってみる実験。最初からブログで書くより整理されてなかったり説明足りないとかでいろいろ読みにくいと思いますがご了承ください。


最初にまとめておくと、岩崎さんが別名義で原作やってる「妹のジンテーゼ」について、私は面白いと思います、オススメ!という話です。



「妹のジンテーゼ」読んでるわ―。全然思いつかなかったけれど言われてみればなるほどと思うところもあるです。お兄さんと妹の関係とか「この人はこういう関係性を外しては物語を語れないのだな」と思ったり。

あとこれはもしドラ漫画版に通じるところがあって「ちょっと話引っ張りすぎてテンポが悪い」って感じる。連載漫画として一回の密度が薄いので、今一つ盛り上がらないんですよね。 でも、ジンテーゼについては「岩崎さん、こういうキャラも作れるのか」って発見もあるでする。

先のツイートでテンポが悪いと言ったけれど、作品全体としてみると必ずしもマイナスじゃない。「記憶術」のエピソードを例にとってみると、もしドラやエースの系譜、チャボと違って語り部は女の子であり、作者の地の文によるだるい説明はないし、チャボの主人公みたいにウザいキャラでもない。


また主人公の女の子自身による知識自慢って話でもない。「お兄さんからの又聞き」という形を取っている。女の子が一生懸命「先生」からの教えを思い出しながら周りに話す。だから「ドラッカー様の託宣を話す巫女」的な感じじゃなく、周りのツッコミとか助けを得ながら話を組み立てていったりと会話を楽しみながらエピソードを消化できる。 周りの興味を引きつけるあたりの描写がしっかり描かれてるのは、知識がない読者をひきつける仕組みとして意識してるんだと思う。描かれてはいないけどホントはもしドラでもこういうシーンがあったんだろうな。


まぁなんというか、描写や会話が丁寧というか、とても「親切」であり、それゆえにどうしても漫画としては間延びした印象を受けるのだけれど、女の子かわいいし、あんまり知らない知識に触れられるし、単行本で読んだら楽しい作品だと思います。 
普通におすすめできるよ








司馬遼太郎が作品を書く度に、神保町からその作品に関連する古書が一冊残らず消えたという逸話がある。漫画も、今面白く売れている本は、資料の読み込みが素晴らしい。作品を書くにあたり、どれだけ上質で沢山の資料を集められるか。その資料を根気よく読み込み、自在に使いこなせるか。資料を読み込ンでいない作品は、抽象的で、ぼンやりと思索的な話になりやすい。作品中のキャラクターの内面描写ばかりで物語が進まないし、作者の体験や見聞に枝葉をつけたエピソードばかりで、小さな世界を小さく描いた作品しか描けなくなる。ただ、気を付けなくてはいけないのは、作品が読ンだ資料の情報の羅列にならないようにする事。資料は大事だが、それはあくまでも下地で、自分独自の物語を創り上げる。漫画家は、エピソードライターではなく、ストーリーテラーなのだ。(小池一夫)

エピソードライターとストーリーテラーの違いってのが興味深い。 自分語り+エピソード紹介だけだったらそれは前者なんだろうな。それでもウケることはあるだろうけど、ストーリーテラーとは呼べん、と。逆に後者はいつでも前者+αになれるわけで、じゃあ後者が常に強いかというとそうでもないという。

「妹のジンテーゼ」の話に戻ると、実際はちゃんとストーリーラインがあるんだけれど、エピソードライター的な要素が目立ってしまうのがちょっともったいない。もしドラは描写薄いとかいわれるけど、逆に言うとその「薄い」のおかげで、ストーリーが進んでるのは伝わる。一長一短。難しそう

理想としては、丁寧に描写しつつ飽きさせず(読者の理解と合わせながら物語に必要な知識やエピソードを提供し)、先が気になる展開・・・というよりストーリーが常に動いている感じみたいなのがあるとイイのかな。

最近読み終わった「新世界より」はそのあたりホントすごいなーと思った。 私あれだけ長い小説だとだいたい2週間はかかるし、その途中で挫折すること多いので「アニメと併走しながらよめばいいや」程度のつもりで手を出したけど、結局途中で止まらず最後までいってしまった。<「新世界より」はマンガもアニメも秀逸だと思います。オススメ!>







岩崎さんのブロマガに関する不満点?について、「作者との間に距離を感じる」というのがあります。毎週ニコ生やってるし、掲示板やコメント欄でも丁寧に応対してくれるし、親切なんですが、そもそもの話題やら記事に馴染みがないものが多く、なぜこういう話をするのか、とかなんでこんな話に興味があるのか、とかがわかりにくく、心の温度が一致する前に話がどんどん展開して終わってしまう。

もちろんこれは作者の問題ではなく私の問題であり、彼が私に合わせるべきという話はなく、私がなんとか追いつきたいという話なんですが、今のところ追いつくのは大変です。kawangoさんなんかが面白いと感じる理由はなんとなく分かって来ましたが他の人どうなんだろ。 結構若い読者の人が多いらしいですが、みんな彼の話がちゃんとわかってるのかな、と。だとすると凄いなーと思ったり。

それと比べると「妹のジンテーゼ」は非常にゆったりとしていて、今の私でも落ち着いて読めます。私にはちょうどいい作品かもしれないです。まる。